THE REFLECTION SP企画:物語の舞台を巡る旅(第3回)

ロケハン同行者が語る『THE REFLECTIONの舞台を巡る旅』

THE REFLECTION 舞台を巡る旅

遂に「THE REFLECTION」完結しました。しかし、この企画はまだまだ続きます。
これで心おきなくネタばれ的なこともお伝えできます!

独特なアートスタイルを生み出すために、各話で登場した街などへ実際にロケハンを行い、舞台となる場所のリアルやディテールを見て感じ、プランを練り上げた。
このプロジェクトに当初から参加し、このロケハンに同行したスタジオディーン制作部設定制作を担当する許瑠伊が語る「THE REFLECTIONを舞台をめぐる旅」第3回をお届け!
許が出してきた謎のMAP、「これがこの作品の骨となるものです」という、どういうことなのか?今回はその謎に迫ります。

THE REFLECTION 舞台を巡る旅

第3回 全てはこのMAPに

THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)

許が出してきた謎のMAPは、ピンクのマーカーが引かれているアメリカのMAPだった。

――― このMAPは何ですか?

このMAPこそ、この「THE REFLECTION」の骨となるものですよ。
(・・・エセスマイルで答える許)

――― 「骨となるもの」とはどういう意味なんでしょうか?

「THE REFLECTION」の物語の流れと登場する場所がこのMAPに集約されているんですよ。よく見てください、このMAP、マーカーで印を付けている場所は舞台になった場所です、見づらいですが話数番号も振られているでしょ。

THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)

――― 現地にてロケハンして場所を決めるではのでなく、それはもうある程度の段階、ロケハンするっていう段階ではここを舞台にするって決めていたということですか?

そうです。ロケハンに行く三か月前かな、ロケハンやるよと決まった段階でとりあえず話はどうするかは別として、最初はNYからスタートして最後はLA付近という大雑把な目安を付けました。
その上でこのMAPを見ながらこのあたりで話数を作ってなど詰めた上、日本にて場所をしっかりピックアップしてからロケハンに向かったんです。その点を詳しく話していきますね。

――― 最初はNYからスタートして最後はLA付近というお話がありましたが、街から街へ、場所から場所へ移動しながらお話が進む形はロードムービーですよね、当初からロードムービーにする予定だったのでしょうか?

ロード―ムービーにしようというのはスタン・リー氏からのアドバイスだったと聞いています。実は長濵監督もロードムービーという方向もありかなという話を前々からしていましたね。
打ち合わせが進行していく中で、今回のようなアメリカらしく車で横断するような構想になってきたんです。

――― ロードムービーであれば舞台となる街や場所の選考は重要ですが、候補地探しなどはどなたが担当されたのですか?

アメリカにいたこともあり、基本は僕がやりました。僕自身もいろいろ知っているわけではないですけど、こういう感じの街とか、こういうロケーションとかというざっくりとした情報から、この街ならどうですか?この場所でしたらどうですか?という形でピックアップしていきました。
ただし、候補地に関しては長濵監督からいくつか条件を出されていましたから、それに沿って行いました。

――― 長濵監督から条件とはどのようなものだったのでしょうか?

大きく4つありました。
・警官の制服が全部違うこと
・アメリカを横断すること
・スタートはNY、エンドはLA
・13話に分けて、1話ごとの場所

だから、インディアナポリスからデイトンに変わったの警官の制服の違いを出すためです。
このエピソードの詳細は第2回をご覧ください

THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)各都市の警察官
THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)各都市の警察官

――― 候補地のピックアップは「THE REFLECTION」の根っこに関わる重大な作業ですよね、いかがでしたか?

作品の舞台に直結するのでもう気がじゃなかったですね。一時検索履歴が全部、街の名前でなった時期がありました(笑)
ものすごくプレッシャーでしたが、こんな重要な役割を任せてもらったというのはアニメーション制作に関わるものとして光栄というか、うれしかったですね。

――― 候補地からどのように絞り込んでいったのでしょうか?

まずは、話数ごとにいくつか候補地をピックアップし、街並みはこんな感じなど資料を集めた上で、長濵監督とシリーズ構成・脚本担当の鈴木やすゆきさんと僕と三人でここがいい、あそこがいいなどを意見出し合い、MAPを見ながら「ここからこの話数でこういう行動や事件が起こったから、じゃ敵側はたぶんこんな風に惑わしてくるだろうなからそれを先読みして南へ行くじゃないか?、北に行くんじゃないか?」という話し合いしながら練り上げました。
MAPを見る道順もマーカーされていますが2つルートを示す線があります。これは当初の予定はこちらで、実際はこのルートになったんです。

長濵監督が最終決定を下し7か所に決めました。ただ、もうシナリオがある程度出来上がっていたものあったので、その場合はこの話数はこの場所が合うからちょっと手を加えて改造しないとならないなど、鈴木さんとすり合わせしながら決めました。

THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)

――― 本当に「THE REFLECTION」の骨となるMAPなんですね。

このMAPを見るといろいろ思い出しますね(しみじみ)
印象に残るエピソード(第1回)結果オーライエピソード(第2回)を併せてご覧ください》

――― このMAPにチェックしてある場所は行ったのでしょうか?

全部、NYからLAまで行ってきました。ただ、車でないですよ、スケジュールの関係で飛行機でした(笑)
いや、本当にハードで大変でした。12日間で7都市を巡りましたからね。
いいもの見せましょう
これを見るとどれだけ過密スケジュールだったか、わかりますよ
(・・・許がスケジュール表みたいものを出した)

THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)各都市の警察官
許がぼそっとひと言、
「ロケハン自体も大変でしたが、この1日ごとのタイムテーブルを作るのが何より大変でした……」

――― これはロケハンのスケジュール表ですか?

そうですよ。1日ごとのスケジュールです。タイムテーブルと云った方がいいですね。何時の飛行機に乗り、○時から○時まで○○でロケハン、○時に車で○○ロケハン場所へ移動など詳細が15分刻みで書かれています。このスケジュールに沿ってロケハンが行われました。

――― このタイムテーブルを見ると、放送でも第3話のエレノアの部屋があるボルチモアは夜のシーンでしたがこのスケジュールでも夜になってしますね、物語の登場シーンの時間に合わせてのロケハンをしていたということですか?

ボルチモアは夜のシーンだから夜もロケハンをしました。もちろん、日中もロケハンはしていますけどね。
第3話のエレノアのシーンは、リアルで見たボルチモアの夜を再現しているんですね。
シーンとのリンクしたロケハンをするためには、分刻みで進行しなくてはなりませんでした。

――― 日本いる段階でこの場所は○話の××シーンで使うことが確定した上で現地へ入る形だったんですね。

はい、そうです。大まかに行く場所や行く街、通る経路的なものはMAP上で決めていました。そこはどんな風景なのか?どんなものがあるのか?は某G先生でいろいろ調べました。
例えば、第3話のリサの家が出てきますが、あれは実際にその場所にある家なんです。
お父さんが警察官でお母さんがいなく、だったらこんな家にリサが住んでるかなとキャラクターの設定に基づいています。

――― 警察官であるお父さんの収入に見合うような家を探したということですか?

はい、お父さんが警察官で豪邸というのもの変ですし、逆に粗末すぎてもおかしいですから、そこはある意味リアルにこだわりました。
リサの家の場合は、このくらいの家ならいいかなと大まかな目安をつけて、デイトンの不動産サイトを片っぱしから見て探しました(笑)
エレノアの部屋も同じように、彼女の経済状況を考慮してボルチモアの不動産サイトで探しました。
探したのは僕ですが、当然なんでもいいわけではないので「こんなイメージならいいよね、この間取りならいいよね」など監督と相談しながら探して行きました。
「THE REFLECTION」のバックボーンは本当にリアルにこだわっています。

THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)各都市の警察官THE REFLECTION 舞台を巡る旅(第3回)各都市の警察官

――― 本当に前準備段階で完全に決め込んで、○では夜の○○と撮る、Xでは朝のXXを撮る、この時間帯こういう光りだから撮るなどが決まっていたですね。だから15分刻みのタイムテーブルになったんですね。

そのとおりです、
アメリカは日本と街灯の色とかも違いますし、アメリカのドラマや映画ではオレンジ色の多いのですが、最近は白っぽいもの増えているらしく実際に行ってみないとわからないことも多いですから。
光の当たり方でこういう風に見えるんだとかも本当に行ってみないとわかりませんからね。
某G先生で見たときはあったけど実際に行くと、工事で街灯がないということもあったりしましたね
第1話のNYのタイムズスクエアは誰でも知っている場所ですが、今映っている電光掲示板はどういう銘柄なのか、どこか消えていてどこが点いているかとか、どこが工事になっているのかなどをぐるっとカメラで撮影しました。
可能な限りロケハン時NYを再現したんです。
物語の舞台になっている季節はもっとあとの季節なんですけど、街並み的には可能な限りロケハン時NYを再現しました(笑)
しっかりと現地でのロケハンを行うことが出来たからこそ可能になったのがあの「THE REFLECTION」の魅力の一つである独特のアートスタイルなんです。

15分刻みの過密スケジュールのロケハンや前準備を綿密に行ったのは、全てあのアートスタイルを作るためなんです。

《こぼれ話》
今だから言えますが、ちょっとした事件が!
レンタカーにカメラを忘れたんですよ(笑)
レンタカーを返しに行って、カメラはそのまま車内に(汗)、何しに行ったんだという話ですよね(笑)
カメラがないと気づいたのは空港で、空港とレンタカー店がシャトルバスで行き来するような距離なんですよ。
超過密スケジュールで進行していたのでフライトが間に合うかとかヒヤヒヤ状態、でも選択肢はひとつ!もう一回シャトルバスで取りに行きました。
結果的に、カメラもあったし、フライトにも無事に間に合いした。
こんな過密スケジュールにも関わらず、飛行機なども遅れなどもなく、無事にロケハンもでき、ある意味神がかっていましたね。


今回は謎のMAPの秘密に迫りましたが、次回はロケハンとあの独特なアートスタイルの関係に迫ります!
更新予定は12/21(木)⇒2018年1月に変更

※THE REFLECTION『現場の声』のバックナンバーはこちらをご覧ください。


THE REFLECTION公式サイト  http://thereflection-anime.net
THE REFLECTION公式twitter @RFLC_anime
©スタン・リー, 長濱博史/THE REFLECTION製作委員会 作品紹介へ

2017-11-16